鉱石の和名を見ていると漢字で記している時に元素の漢字表記で組み合わされていることがあり、漢字の鉱物名を見るだけで、どんな化学組成なのかイメージできます。
例えばガーネット(ざくろ石)は鉱石のグループ名であり、その中で化学成分によって大きく6種類に分かれています。
グループ | 種の名前 |
パイラルスパイトPyr Al Sp (ite) | アルマンディン / Almandine(鉄礬柘榴石) |
パイラルスパイトPyr Al Sp (ite) | パイロープ / Pyrope(苦礬柘榴石) |
パイラルスパイトPyr Al Sp (ite) | スペサルティン / Spessartine(満礬柘榴石) |
ウグランダイトU Gr And (ite) | アンドラダイト / Andradite(灰鉄柘榴石) |
ウグランダイトU Gr And (ite) | グロッシュラー / Grossular(灰礬柘榴石) |
ウグランダイトU Gr And (ite) | ウバロバイト / Uvarovite(灰クロム柘榴石) |
英語名だとそれぞれアルマンディン、パイロープ、スペサルティン、アンドラダイト、グロッシュラー、ウバロバイトと名前を見ただけでは、そこにどんな成分が含まれているのか見当がつきません。しかし和名の鉄礬柘榴石、苦礬柘榴石、満礬柘榴石、灰鉄柘榴石、灰礬柘榴石などは「鉄」「苦」「礬」「満」「灰」が元素のそれぞれ何に対応しているかを知っていれば、すぐにどの元素が入っているのか理解できます。
面白いのがガーネットは赤色系と緑色系に分かれますが、赤色系は「アルミニウム(礬)」、緑色系は「カルシウム(灰)」が入っている違いがあるので、元素の組み合わせや組成量の違いで色の出方が違うのかも?なんて推測もできます。
金属元素が色の要素に影響していることも多いですので、この漢字と元素の対応を知っていれば鉱石の名前と性質が覚えやすいと思うので、このページでまとめておきたいと思います。
漢字(よみ) | 元素番号 | 周期 | 族 | 記号 | 元素名 | 参考鉱石名 |
硼(ほう) | 5 | 2 | 13 | B | ホウ素 | 方硼石 [Mg3B7O13Cl] |
弗(ふつ・ふっ) | 9 | 2 | 17 | F | フッ素 | |
曹(そう)/ 曹達(そーだ) | 11 | 3 | 1 | Na | ナトリウム | 曹長石 [NaAlSi3O8] |
苦(く)/ 苦土(くど) | 12 | 3 | 2 | Mg | マグネシウム | 苦灰石 [CaMg(CO3)2] |
礬(ばん) | 13 | 3 | 13 | Al | アルミニウム | 鉄礬柘榴石 [Fe3Al2(SiO4)3] |
珪(けい) | 14 | 3 | 14 | Si | ケイ素 | 珪灰石 [Ca3Si3O9] |
燐(りん) | 15 | 3 | 15 | P | リン | 燐灰石 [Ca5(PO4)3(F,Cl,OH)] |
硫(ひ) | 16 | 3 | 16 | S | 硫黄(いおう) | 硫砒鉄鉱 [FeAsS] |
可里(かり) | 19 | 4 | 1 | K | カリウム | |
灰(かい) | 20 | 4 | 2 | Ca | カルシウム | 灰重石 [CaWO4] |
満(まん) | 25 | 4 | 7 | Mn | マンガン | 満礬柘榴石 [Mn3Al2(SiO4)3] |
鉄(てつ) | 26 | 4 | 8 | Fe | 鉄 | |
銅(どう) | 29 | 4 | 11 | Cu | 銅 | |
砒(ひ) | 33 | 4 | 15 | As | ヒ素 | 砒鉄鉱 [FeAs2] |
水鉛(すいえん) | 42 | 5 | 6 | Mo | モリブデン | 水鉛鉛鉱 [PbMoO4] |
銀(ぎん) | 47 | 5 | 11 | Ag | 銀 | |
錫(すず) | 50 | 5 | 14 | Sn | スズ | |
安(あん) | 51 | 5 | 15 | Sb | アンチモン | 安四面銅鉱 [(Cu,Fe,Zn)12Sb4S13] |
沃(よう) | 53 | 5 | 17 | I | ヨウ素 | |
重土 | 56 | 6 | 2 | Ba | バリウム | |
重(じゅう) | 74 | 6 | 6 | W | タングステン | 灰重石 [CaWO4] |
鉛(えん) | 82 | 6 | 14 | Pb | 鉛 | |
蒼鉛(そうえん) | 83 | 6 | 15 | Bi | ビスマス | 輝蒼鉛鉱 [Bi2S3] |
元素の和名と漢字がそのまま同じ(青字で記載)ものもリストにしたほうがわかりやすいと感じたため載せています。
何度も遭遇するうちに覚えるようになると思うので、せっかくなので鉱物の和名と英語名をセットで覚えておきたいですね。日本人として両方覚えておくと、少し賢くなった気になれます。
最後にWikipediaに載っている周期表を載せておきます。鉱物の分類と元素記号は切っても切り離せないものです。逆に言うと石(鉱石)の化学組成も少し理解しておくと、その石の性質が理解できるのでより石が好きになれると思います。