「石ふしぎ大発見展」の開催と同時に行われている鉱物鑑定検定の最初の級である7級を受験しましたので、そのレポートをしたいと思います。
なお、鉱物鑑定検定は8~1級までありますが、最初は必ず8級を受けて合格しないと次の級を受けることができないというステップアップの仕組みの試験となっています。8級と7級は同じ日に同時に受けることも可能です。また8級と7級はどちらも試験時に資料の持ち込みが可能となっています。
7級までは持ち込みが可能なので、しっかり講義を聞いて参考書片手に試験を受ければとりあえず合格する可能性は高いかもしれません。7級の講義も8級と似ていて、8級はまず鉱物鑑別の前に(お願い・マナー)的なものの紹介が含まれていますが、7級は急ぎ足で多くの鉱物の標本を実際に見ながら判別のための要素を紹介する感じです。
7級で新たに追加される鉱物は33個。
8級が23個だったので数が増えているのと、まずは判別の簡単なものから紹介していきますので、7級からは鉱物の判別が知らないと難しいものも出てくるイメージです。
また7級の試験は8級で出てくる鉱物も出てきます。多くの方が勘違いする点として先生があげておられて、実際に試験問題も7級の鉱物だけでなく、8級で習った情報も問われます。これはさらに上級に行っても同じですので気をつけたいところですね。
【合格体験記】鉱物鑑定士8級を受けてみました【石ふしぎ大発見展】
私は8級から1年明けて7級を受験しました。1年に1回ぐらいの間隔で「石ふしぎ大発見展」を訪れるついでに勉強して詳しくなりたいという動機づけで受けています。
8級を受けた時に感じたこととして、7級までは参考書持ち込み可なので合格点は取りやすいということで、今回は、事前準備もあまりせずリラックスして受けに行きました。1年後に受講しましたが、講師の先生は1年前と同じ人でした。
鉱物鑑定検定7級受験レポート
7級の講義と受験の様子はほぼ同じです。
講義が8級に比べるとかなり駆け足で、次々と鉱物の判別方法(標本を見て特徴を紹介)していきます。講義の時間は90分なのですが、30個以上の鉱物を全て取り上げることから、1個の鉱物にかける時間は単純計算しても3分以下になります。
とにかくスピードが速いので、出来れば届いた資料で予習しておくなり、講義を聞きながら大事と思うところに線を引くなど、「さささっ」と聞いてないと聞き逃すことが多くなるレベルです。個人的にオススメしたいのは試験前に届く資料で出てくる鉱物について「「必携!鉱物鑑定図鑑」-楽しみながら学ぶ 鉱物の見方・見分け方-」で一通り目を通しておく、付箋でも貼っておく程度の準備はしておくと良さそうです。
必携!鉱物鑑定図鑑は新版発売予定ですが、なかなか発売されず慢性的に在庫不足状態です。中古でも高く売ってしまわれている程度で困ったものですが、検定ではこの本がなくても対応出来るように配慮はしています。私は「図説 鉱物肉眼鑑定学事典」の方で対応しました。
ちょっと書き方や、載っている写真の雰囲気が違うのですが、敢えて違う方を見ることで理解は深まるかもしれませんし、少し混乱するかもしれません。一番いいのは両方を見比べることなんですがね・・・。
90分の講義って長そうと思いますが、このように一気に進むので個人的には90分もう経ったの?レベルでした。
なお、受講者は8級の時に比べると少しだけ年齢層が上がっているとも感じ取れました。男女比的には同じ程度でしょうか?多くの方が、おそらく綺麗な結晶が好きな方が多いと思うので、鉱物鑑定は思っている以上に難しいことも覚える必要があると思います。
珪線石(けいせんせき)ことシリマナイトは紅柱石(アンダルサイト)や藍晶石(カイヤナイト)と同質異像の関係にあり、正直、判別が難しい石です。何の変哲もない特徴の薄い石ですのでシリマナイトは「知りまないと」というジョークすら飛び出していました。
こういう分かりにくいものは鉱物判定の試験には出にくい(判別方法自体紹介しづらいため)のですが、何が出るかは分からないということで出たらごめんなさいとのことでした。
休憩後、後半45分で受験
90分の講義が終わると、一旦全員会議室の外に出て試験のセッティングをします。トイレ休憩も含んでいます。会場に再び入ると、試験問題のプリント2枚と、試験で判別する鉱物が裏返しになって置かれています。
なお、解答用紙に標本箱No.を書く欄があります。その場にいる人でも判別する石は少し異なっているのかもしれません。
試験プリントは1枚目が文内の穴埋め問題。2枚目が標本の鉱物を当てる問題です。
鉱物を判別する問題は横に少し補足が書かれていますので、まず鉱物標本でこれだと思ったら参考書の持ち込みや講義のプリント見てもよいですので間違いないか確認すると良さそうです。
合格通知が届きました
受験後、ゴールデンウィークが明けて約3週間ぐらいで試験結果が届きました。
とりあえず合格できましたが、100点とは行かず90点での合格でした。穴埋め問題で1問、鉱物判定で1問間違っていました。正直、試験中も100点は取れないかもというぐらい迷っているところが多かったので、7級となるといくら資料を持ち込めると言っても、ちゃんと理解が完璧でないと間違いも出てくると思います。
しかし合格基準は70点以上ですので、何問かは間違っても合格出来るということでリラックスして望めばいいでしょう。
7級以上からは実際に認定証が欲しい方は認定料を払って申請する必要があります。7級は3,000円です。この認定証を取らなくても合格した方は上級を受けることができますので、さらに上を目指したい方は特に申請せずとも次の級は受けられます。
6級以上は参考書などの持ち込みができなくなりますので、グッと難易度が上がることが予想されます。検定時に「基準鉱物表」は配布されるので、名称がちゃんと書けないなどは防げそうではあります。
そのためか?7級合格時の資料の中には「上級を目指すために」というプリントが入っていました。全部で4ページに纏めた内容になっていますが、明らかに6級からは難易度上がるから注意せよみたいな感じです。
特に「化学組成」「結晶系」「結晶形態」「酸反応」「産状」などしっかりと覚えておくべきと書かれています。参考書持ち込みできない分、丸暗記レベルなので、いよいよ学生気分です。
また有名な産地、和名だけでなく英名もセットで覚えることなども書かれています。
高校地学で習った3つの岩石(火成岩・堆積岩・変成岩←これ多くの人に難問だったと思う)。や、元素周期表も再度覚え直すレベル。せっかく鉱物に興味を持ったのなら、元素周期表は学校で覚えたレベル以上に愛着を思って覚え直したいですね。
ここまで来たら来年には6級を受けて、いよいよ鉱物鑑定を参考書など見なくても素で覚えているぐらいには勉強したいなぁというのが率直な気持ちです。興味があって駆け出したら、止まらない。石が好きな方、鉱物が好きな方、石沼にハマる方(笑)はそんな人が多いのではないでしょうか?
8級・7級と受けてみて、やはり持ち込みなしの6級を合格することが、この鉱物鑑定検定の最初の階段だと思いました。(ファーストステップはまず受けることですが・・・)
そして次の大きな山がおそらく3級なのでしょう。鉱物検定試験の受付にいる人は6級までは持っていると言っていましたので、まずは6級、そして試験会場で見回りをする「鉱物鑑定士」と名乗るなら3級までの道のりを達成するのが求められそうです。
私はのんびりと進もうと思っていますが、それでもこの試験をきっかけにより詳しくなりたいという欲求を満たしていきたいと思っています。