鉱物(石)の結晶系に関して

結晶系は鉱物(結晶)における結晶からの分類方式の一つになる。それぞれの結晶系の性質に基づいて鉱物は結晶化されており、繰り返して肉眼で見えるほどの個体を作っている。

そのため、鉱物の形をつくる要素としても結晶系は有用な判別要素になる。その外形に表れる対称性だけに着目すると大きく6種類に分けることが出来る。

実際の鉱物は微小結晶が集合の仕方によって様々な形を示すことが多いが、この結晶系は鉱物判定でも基礎となるので、頭の中に留めておきたい。これと同じくへき開も割れたり、剥がれやすい方向性ということで外形を決める要素の一つになっている。

このページでは結晶形について詳しく解説する。正直、最初に見ただけでは分かりにくいので、私が初心者ということで、初心者にも分かりやすいような紹介ができればと思う。

三斜晶系 – triclinic

三斜晶系 – triclinicの特性

結晶軸の本数:3
結晶軸の長さ:全て異なる
結晶軸の交わる角度:すべて異なる
主な鉱物:曹長石、斧石、トルコ石など

図の3つの角度が全て異なり、3つの長さがすべて異なる。最も対象性が低い特徴を持つ。

一番、それぞれの長さも揃ってなく、角度もバラバラという雑な形になりやすいと覚える。

略称「三斜、トリクリ」

単斜晶系 – Monoclinic

単斜晶系 – Monoclinicの特性

結晶軸の本数:3
結晶軸の長さ:全て異なる
結晶軸の交わる角度:2つが90度(直角)
主な鉱物:正長石、石膏など

三斜晶系と比較すると分かり易いが、三に対して単(1つ)の意味。つまり直角になってない角が一つだけある。

ある面だけ斜めになっている「(略称)単斜、モノクリ」。

直方晶系(斜方晶系) – Orthorhombic

直方晶系(斜方晶系) – Orthorhombic

結晶軸の本数:3
結晶軸の長さ:全て異なる
結晶軸の交わる角度:全てが90度
主な鉱物:重晶石、カンラン石、霰石など

先程までの2つの結晶系と同じ部分は結晶軸の長さがすべて異なる点、一方で角度は全て直角。別名で斜方晶系という呼び名があるが、これは訳語として実際の外形まで上記のような直方体の場合があまりなかったため「斜方晶系」とされてきていた。

しかし結晶系の図をみればどう見ても「斜め」にはなっておらず(全て直角なため)、結晶系は直方晶系という呼び名に改めていくようという流れになっている。

略称「直方、オルソ(オルソ使っちゃ駄目らしいが・・・)」

正方晶系 – Tetragonal

正方晶系 – Tetragonal

結晶軸の本数:3
結晶軸の長さ:2本が同じ
結晶軸の交わる角度:全てが90度
主な鉱物:ベスブ石、ルチル、モリブデン鉛鉱など

ここからは結晶軸の長さが同じものが出てくる。正方晶系は2本が同じ、交わる角度は全て90度。先に出てきた直方晶系に比べると違う部分は2つの結晶軸が同じというだけ。だから一面に正方形が表れるから正方晶系と覚えたい。

略称「正方、テトラ」

六方晶系(三方晶系) – Hexagonal(Rhombohedral)

六方晶系(三方晶系) – Hexagonal(Rhombohedral)

結晶軸の本数:4
結晶軸の長さ:3本が同じ
結晶軸の交わる角度:同じ長さの3本が120度、残りの1本が3本に対して90度
主な鉱物:緑柱石、燐灰石など

まずは六方晶系をしっかり解明したい。結晶軸の本数が4本、そのうち3本が120度で同じ長さということで、上部から120度に三本の線をみる、残りの一本が直角に交わる。

三方晶系に関しては結晶軸の本数が3本、同じ長さの2本が120度、もう一本が直角ということで、結局、六方晶系を縦に120度で3つに割った時の一つ分として見ることが出きて含まれていると見ることが出来る。

細かく見すぎてもややこしいので、三方晶系は六方晶系に含めて6つの結晶系に分けたほうが理解しやすい。縦直角はこれまでの90度を引き継ぐ。

この結晶系だけ120度出てくると考えれば分かりやすい。略称「六方、ヘキサ」

立方晶系(等軸晶系) – Cubic

立方晶系 – Cubic

結晶軸の本数:3
結晶軸の長さ:3本が同じ
結晶軸の交わる角度:すべて90度
主な鉱物:蛍石、柘榴石、磁鉄鉱など

別名、等軸晶系。全ての軸が同じ長さ、全て直角と最も対象性の高い結晶型。名前が2つあるのがややこしいぐらいで、これは一番イメージしやすいだろう。等軸晶系という呼び名もあるが、明らかに立方体なので立方晶系で覚えておいたほうが間違いがないだろう。

略称「立方、キュービック」


6つの結晶系を一つ見てきたところで区別表を最後に記載しておく。

結晶系名 結晶軸の本数 結晶軸の長さ 結晶軸の交わる角度

三斜晶系
3 すべて異なる すべて90度でない

単斜晶系
3 すべて異なる ふたつが90度

直方晶系(斜方晶系)
3 すべて異なる すべて90度

正方晶系
3 2本が同じ すべて90度

六方晶系(三方晶系)
4
(3)
3本が同じ
(2本が同じ)
3本が120度、残りが90度
(2本が120度、残りが90度)

立方晶系(等軸晶系)
3 すべて同じ すべて90度

上から下に行くほど、対称性が高くなっていると変化をつけて区別していくと分かりやすい。

別に試験を受けるわけではない方は完璧に覚えておく必要はなく、気になったときにこのページなどを見るなどして見直すと良いが、結晶系の名前を見た時に、ここに書いてある内容が出てくるようになれば自然と覚えていくと思うので時折振り返っておきたい。

恐らく6つ全部覚えるつもりなら、上記のように対称性の低いものから高いものへ変化をつけて違いを見ていくほうが覚えやすいので、順番も含めて覚えておくと良さそう。