鉱物(石)の硬さを表す尺度としては「モース硬度」というものが有名です。モース硬度を考案したのはドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースに由来してその名がつけられました。
当ページ掲載石を硬さ順に紹介しています→石図鑑ストーンリスト(硬度順、硬さ順)
モース硬度は1から10までの整数値でそれぞれに対応する標準鉱物を設定し、そこから標準鉱物と比較する鉱物をこすり削れるかどうか?で硬度の数値を決定する。
標準鉱物を表にまとめると
モース硬度 | 標準鉱物名 | 化学式 | 絶対硬度 | 備考 |
1 | 滑石(かっせき、タルク) | Mg3(Si4O10)(OH)2 | 1 | チョークなどに使われる原料。 |
2 | 石膏(せっこう、バサニ石) | CaSO4·H2O | 3 | 住宅の壁材として石膏ボードなどが有名。骨折時の固定剤としても |
3 | 方解石(ほうかいせき、カルサイト) | CaCO3 | 9 | 炭酸カルシウム。石材としては大理石がイメージしやすい。 |
4 | 蛍石(ほたるいし、けいせき、フローライト) | CaF2 | 21 | その名の通り加熱するとホタルのように発光する。光学材料として |
5 | 燐灰石(りんかいせき、アパタイト) | Ca5(PO4)3(F,OH) | 48 | 歯磨き剤として有名(アパタイト)、歯の硬さ以上のレベルと言える |
6 | 正長石(せいちょうせき、オーソクレース) | KAlSi3O8 | 72 | ナイフレベルの岩石を想像 |
7 | 石英(せきえい、クオーツ) | SiO2 | 100 | いわゆる水晶。ここから宝石として扱われる硬さがある。 |
8 | トパーズ(黄玉) | Al2SiO4(F,OH) | 200 | 宝石としても有名。黄色を帯びて石英を傷つける硬さ |
9 | コランダム(鋼玉) | Al2O3 | 400 | ルビーやサファイヤもこのランク。宝石が硬さが重要なのが分かる |
10 | ダイヤモンド(金剛石) | C | 1600 | 説明不要の地球上で最も硬い鉱物と呼ばれるダイヤモンド |
鉱物の硬さを示す有名なモース硬度に対して身近なもので比較されるものとして
- 2.5(爪の硬さ)
- 3.5(銅製硬化、10円玉)
- 4.5(鉄釘)
- 5 (ガラス)
- 5.5(ナイフ)
- 6(歯のエナメル質)
- 7.5(鋼鉄ヤスリ)
がよく紹介される。比較するとイメージしやすい。
モース硬度は2つの物質を削って調べる「比較指標」なため数値としてイメージしやすいが、単に硬さの順番を意味しているだけにすぎない。それを補うものとして「絶対硬度・ビッカーズ硬度」というものがあり、工業的用途として硬さを知りたい時に使われる。ダイヤモンド製の圧子で押し込むことで測定する。
方向によって硬度が異なるものも(二硬石)
モース硬度には方向によって硬度が異なるものがある。結晶構成によるもので「平行方向」と「垂直方向」で2つの硬度を持つものを二硬石と呼ぶ。
硬さと割れにくさは異なる
注意点として「硬い≠割れにくい」というのは意識しておきたい。鉱物における硬さは「傷つきにくさ」となり、例えば硬い宝石は他の鉱物とすり合わせても傷つきにくいが、ハンマーで叩いたり、強力な衝撃が加わると割れてしまう。割れにくさは「靭性」という異なる指標を用いる。
日本語でいうと勘違いしやすいですが、英語でいうと硬度は「hardness」。そして靭性は「toughness」。硬いやつでもタフさがないものはたくさんあるのは想像できるでしょう。宝石として高価なエメナルドやルビー、サファイヤなどは硬度は硬いですが、靭性でいるとタフさで有名な「翡翠(ヒスイ)」に負けてしまいます。
モース硬度計
モース硬度計は地質科学や教育学系の商社からセットで販売されています。
日本では商社として「ニチカ」「ナリカ」といったあたりから出ています。
ナリカさんの「モース硬度計 MH-10R」は文房具店やモノタロウといった商社からしか売っていません。
価格としては2万円程度。しっかりした木の枠に収まっていて条こん板(石の条こん色を調べる)も付いています。
ニチカさんは京都にある鉱物系の器具や標本を取り揃えている会社なので物は良いですが手に入れ方が限定されていそうですね。販売会などにいかないと難しいです。
一般家庭の普及型なら5,000円以下のものもあります。その代わりケースなどは紙などで最低限になっています。とりあえず手にしたいという方にはオススメです。上記みたいなものを手に入れて、箱とかはオリジナルで作ったほうが安上がりで満足行くものが入るかも知れませんね。
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上記ページも石選びの参考にしてください。