石に関する書籍のレビューコーナー。どちらかというと石初心者が必至になって石に関する色々なことを吸収したいと思い、様々な本を手にとって読んでみてのレビューです。私のような石初心者が手にとって読むとどういった感想になるか?という視点でレビューを見ていただければと思います。

今回は「価値がわかる」というサブタイトルが秀逸で内容もしっかりしており評価も高い本です。

著者は諏訪 恭一 氏で宝石貿易では有名な方なのでしょう。米国宝石学会(GIA)の宝石鑑定士を日本人第一号として取得している方で、その道のプロになります。その人が出した本で「価値がわかる」となれば、多くのこれから石がほしいというかたも読んでおきたい本ということになります。

特にミネラルショーや宝石販売会のようなところに足を踏み入れても、値段は書いてあってバイヤーにオススメのほどを言われても、少しは知識がないと価格なりの価値なのか?欲しいか?の判断すらつかない方が多いと思うので、一読して予習しておくと非常に良いですね。

2015年に発刊された本ですが、第二版が2024年に出ています。内容がバージョンアップされているものになるということで、これから手に入れる人は「第二版」を手に入れる方が良いでしょう。

価値がわかる宝石図鑑 第2版

諏訪 恭一 氏もたくさんの「宝石の価値」に関する本を出していますが、よっぽど仕事にするとかでなければ、この宝石図鑑というものを読めば、普通に宝石の価値に詳しくなれるし、自信を持って「宝石・天然石」を買うことが出来るのではないでしょうか?

掲載は硬度順、宝石の価値を担保する1つ

普通の石が、宝石としてランクアップする要素としては複数ありますが、まず宝石の定義が本には書かれています。「大自然が生み出したもので、美しく、永く身につけることができて価値を持ち続けるもの」とのことです。

価値の担保として大事なものの1つが「硬度」ですね。その順番に書かれているのはらしいなと思います。

さらに「品質の7要素」というのを最初に解説しています。

「色相と鉱物種」「産地」「処理の有無」「姿と輝き」「濃淡」「不完全性」「サイズ」を挙げていて、この7要素が絡み合って評価されて、価値がつくとのことです。そしてその価値に対して需給によって価格が変動すると考えればよいでしょうか?

肝は各宝石のグレードの値段と写真が載っているところか?

この本の価値が高い部分としては、各宝石についての解説と、それぞれのグレードと値段を載せてくれているところだと思います。

特に作者が本を書いている時点になりますが、「だいたいの値段」を写真と一緒に載せているのが秀逸です。本当に知識があって権威もある人でないと数字が出せないところでしょう。作者がまさにたくさんの宝石に向き合い、その価値を正しく理解しているから出来ることで、私達読者はこれを参考に間違いのない買い物が出来るので便利です。

載っている宝石種も多く、グレードの写真を並列して載せてくれていることでわかりやすいです。

あとは皆さんが、グレードの高いものを欲しがるか、グレードが低くても自分が欲しくなる値段なのかで考えると良いでしょう。単純に2000万のサファイヤって写真だけど、こんな感じなのかぁと眺めるだけでも楽しいですね。

宝石流通としての目

基本的に宝石を扱う人、天然石を扱う人は「地球が生み出した石が好き」という人がほとんどです。

そのため、適正に多くの方に愛されて欲しいという想いの人が多いでしょう。宝石は天然石をより価値あるものにするために鑑定書とか、カットであったり、宝飾品としてどう使うか?など古来から人間によっていろいろと考えられてきました。

宝石の貿易をしている人も正しく、多くの方に「石が愛されるためには?」というのを考えているというのが節々に感じられました。石好きなら書籍内にある写真をパラパラと眺めているだけでも気分が高揚して気持ちよくなれそうです。

宝石がたくさん載っている類似の本のたくさんありますが、その中でも人気が高いのが頷ける内容でした。他の本と見比べて考えの違う部分などを探すのも楽しいでしょうし、この本の宝石は比較的「高めのライン」のものの掲載が多いです。そういう意味で目の保養として家においておくのもありでしょう。高い理由をちゃんと真面目に書いてくれているのが嬉しいですね。

価値がわかる 宝石図鑑 [ 諏訪 恭一 ]

価値がわかる宝石図鑑 第2版

これから手に入れるのであれば第2版をオススメします。