パワーストーンの教科書～親愛なる石たち～[著：結城モイラ]

石に関する書籍のレビューコーナー。どちらかというと石初心者が必至になって石に関する色々なことを吸収したいと思い、様々な本を手にとって読んでみてのレビューです。私のような石初心者が手にとって読むとどういった感想になるか？という視点でレビューを見ていただければと思います。

今回はパワーストーン系の本になります。

内容は非常に読みやすく、パワーストーンに対する入口部分から、基礎知識、活用法などを最初にレクチャーしてくれて、その後にパワーストーンのデータベースが約204種類掲載されています。データベースではそれぞれの石に対して、作者の思いの詰まった紹介がされているので、気になった石のパワーストーン視点での情報が気持ちよく読めると言えるでしょう。

正直、数多くのパワーストーンのそれぞれの石について、細かく文章を書くのは骨の折れる作業だと思います。それが出来るのは占いなどが得意な方だからでしょう。それぞれの石についての知識と強い気持ち・思いがないと為せる技ではありません。

また、この本の最初の部分の「科学と非科学」という部分が私には非常に刺さった部分です。

石の分野に少し詳しくなると、この分野はどうも2種類のタイプがいることに感じる人が多いと思います。

「科学タイプ・・・鉱物コレクター、採掘好き、原石などそのものの自然美が好きな方」

「非科学タイプ・・・パワーストーンを代表として、石のキラメキの美しさ、何か宇宙的なパワーが期待できると思っている方」

この科学タイプと非科学タイプというのは、鉱物（石）の世界でもどうも相反する分野ですので、互いを受け入れがたいという特性があると私自身も感じています。私自身はもともと占いなどスピリチュアルなことは苦手なタイプで科学で証明できないようなことを言われても信用できないタイプでした。占いとか宗教とか騙されそうで嫌いでした。

しかしながら、最近では科学で証明できていることはこの世界において実はほんの僅かな部分でしかなく、まだまだ多くのことは非科学的なことで成り立っていて、いずれ検証されるかも知れませんが、いつまで経っても検証されないで世の中進んでいくことも多いと感じることも多いです。

私は最近は「科学・非科学」のどちらにも寄り添って考えたいと思っていたので、この著者が最初にテーマとして取り上げて「心に2つの窓を・・・」という内容で書かれていたのが印象的です。

著者はどちらかというと占い系出身ですので、非科学系でしょう。どちらかというと科学で証明できないこともたくさんあるんだよという意思表示はしたいはずですが、科学方面にも窓を開いているのが素晴らしいと思いました。

逆に鉱物コレクターの方は「非科学の方に窓を開きにくい」と思っています。科学で証明されることは分かるけど、それ以外は信じない、信じたくないという場合が多いです。それは科学自体を否定してしまうので、自分の考えの基礎を崩される感覚でしょう。

例えば科学信仰の方は「パワーストーン？石に力が出ている？私には分かりません。放射線出ている石なら知ってますがね・・・」こんな感じでしょうか？パワーストーンという名前も悪いのかも知れませんが、科学的に何か出ていると証明できなければ効能なんて信じないタイプです。

でも、そんな付け足しなくても鉱物そのものを突き詰めていれば、それ自体が素晴らしいと思っている人が鉱物コレクターには多く、不思議な事をもっと科学的に検証したいという欲求の強さは持っていることが多いですね。ですので、何か非科学的な事言われると毛嫌いしてしまうのでしょう。科学で証明できないということ自体が嫌なのです。

私は「石」にはまだまだ科学で解き明かせない不思議な部分がたくさんあると思っています。分かっている部分を参考に何か不思議な力があるとしても全然OKで、パワーストーンを石に親しむためのツールとしたいですし、多くの方が自信を持って不思議な力を感じ取って欲しいですね。その気持ちが大切なのだと思います。

占いも多くは統計学から来ており、実は科学的な部分も多いです。パワーストーンに関しても、いろいろな石の効能は多くの人が感じているという統計学的な要素もありますので、科学的には証明はまだかも知れませんが、非科学的なことに気持ちを寄せて、楽しんで人生を過ごすアイテムにしたいですね。

逆説的に言うと「パワーストーンにすがり過ぎるのは良くない」。というのも感じさせてくれる本だったので感心しました。それぞれの石の素敵な写真つきで多くのパワーストーンが紹介されていますので、辞書的な本、バイブル的な本として手元に置いておくと良い本だと思います。

なお、著者の結城モイラさんは西洋手相術・占星術を得意としている占い研究家のようです。著者も西洋占星術という統計学的な占いを何か他の要素と組み合わせて多くの人に知ってほしいと思っていそうです。